【初心者向け】ナスの育て方/生育の特徴と必要な肥料

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【初心者向け】ナスの育て方_生育の特徴と必要な肥料

実のつかない花はない?

こんにちは。三澤です。

昔から、「親の言うこととナスの花には、無駄は1つもない」という言葉があるぐらいで、ナスの花はすべて実になると言われます。
しかし実際に育ててみると、天候や、気温、水や肥料によって、花が落ちてしまったり、実がついても大きくならないことがよくあります。

この記事では、ナスを基本的な育ち方の特徴と、良く育てるためのポイント、肥料について解説していきます。



ナスは水も肥料もたっぷり必要

ナスは高温多湿が大好きで、肥料も水もたくさん必要とする野菜です。
「ナスは水で育つ」と言われるほど、多くの水が必要で、肥量も多く必要とします。

ここで、一番大事なポイントをお話します。

「一度でも水切れ、養分切れを起こすと、その後の生育が悪くなり、挽回が難しくなる」

とくに、初期の生育が悪いと、良い実を多収穫していくことは難しくなります。

葉の面積が大きいため光合成能力が高い

ナスの実の95%近くは水で、ほかの野菜と比べると、栄養の少ない野菜ですが、紫色の皮にはアントシアニン形の「ナスニン」というポリフェノールの一種が含まれ、抗酸化作用があります。
葉が大きくて光合成能力が高く、生長速度も速いナスは、その分エネルギーも、肥料も水も必要とします。

根がしっかり張れることがもっとも大事

エネルギーを使うということは、それだけ酸素も必要とするということです。
なにより水もちも水はけも良く、通気性の良い、根が十分に呼吸のできる土づくりが大切です。

根が強くないと十分な水を吸収できず、収穫量も品質も上がりません。

家庭菜園で、何度挑戦してもうまくいかないという人は、まず土つくりを見直してみましょう。
ナスがよく育たない土は、硬くて根が張れない、排水性が悪く、根が十分な呼吸が出来ていないことがほとんどです。

ナス栽培の基本データ

科名 ナス科
食用部分 果実
病害虫 アブラムシ、ハダニ、ミナミキイロアザミウマ、青枯病、うどんこ病、半身萎凋病など
発芽適温 25〜30℃
生育適温 23〜30℃
土壌酸度(pH) 6.0〜6.5

栽培のポイント

トマトが脇芽を摘みながら育てていくのとは違い、ナスは脇芽を伸ばして次々と実をつけさせるように栽培していきます。

標準的な整枝は、2本仕立てから3本仕立てです。
しっかり土つくりを行い、十分な養分があれば、4本仕立てくらいまでは、さほど難しくなくいけるはずです。

しかし、伸ばす枝を増やすということは、花(実)がたくさんつくということ。
肥料として与えるチッソと、光合成で作られる炭水化物、また堆肥などから与える水溶性炭水化物が、ハイレベルでバランスを取れなければ、養分が分散し、必ずしも実は増えません。

むしろ、1つ1つの実が大きくなれず、それどころか、まったく実がつかないという危険もあります。
株そのものも疲れてしまい、悪循環になってしまいます。

初めてのナス栽培なら、無理なく2本仕立て、3本仕立てくらいから始めてみると良いでしょう。
その方が、たとえ数は少なくとも、良いものが穫れやすくなります。

脇芽についたナスは、収穫したら枝も元から切る

仕立てる枝を2本、3本と決めて育てていきますが、選んだ枝につく実だけを収穫していくのでは、栽培終了までに、1つの枝から10個程度(3本の枝を伸ばすなら30個程度)しか実がとれません。

多収穫していくには、まず脇芽をどんどん伸ばして、花が1つ咲いたらその先は切ってしまいます。
葉を1つ残しましょうという説明もありますが、残さなくても大丈夫です。

その後、実を収穫したら、枝は主枝のから伸びる付け根から切ります。
枝を残すと、その先まで繁りすぎてしまい、風通しも悪くなり、養分も分散してしまいます。

なお、枝を切った同じ場所からは、また脇芽が伸びてくるので、繰り返し収穫ができます。
こうすると、畑なら秋までに100本近くの収穫も十分可能です。
家庭菜園でも、1本の苗から十分な収穫が得られます。

ナス栽培の肥料

ナスは肥料が大好きなので、元肥として入れる肥料は多めです。
長期間収穫を続けるということは、栄養生長と生殖生長を同時に続けていくということ。
そのためには、チッソと炭水化物の量がともに多いだけでなく、釣り合っていることが重要です。

必要な元肥量の目安(1m2あたり)

アミノ酸肥料(チッソ率7%の場合)

143g

中熟堆肥(C/N比23) 土をふかふかに

2,000g

牛糞堆肥(チッソ率2.2%の場合)長く効くチッソを供給

1,000g

ミネラル肥料(BLOF資材)
  • ナチュラルカルシウム(牡蠣殻石灰)/200g
  • ナチュラルマグネシウム/90g
    (またはブルーマグ/126g)
  • ナチュラルクワトロネオ/30g ※鉄・マンガン・亜鉛・銅・ホウ素を含んだ複合資材

必要な追肥量の目安(1m2あたり)

アミノ酸肥料の追肥量(チッソ率7%の場合)

70g

ミネラル肥料の追肥量(BLOF資材)
  • ナチュラルカルシウム(牡蠣殻石灰)/20g
  • ナチュラルマグネシウム/30g
  • ナチュラルクワトロネオ/20g ※鉄・マンガン・亜鉛・銅・ホウ素を含んだ複合資材

初めての収穫/2番果〜3番果までは小さいうちにとってしまう

最初につく実は、とても嬉しいし、かわいいのですが、ごく小さいうちに収穫してしまいましょう。
多くの本では「一番果は早めに穫る」と書いてありますが、できれば二番果、三番果くらいまで、ごく小さいうちに収穫してしまうのがオススメです。

ナスを長期間にわたって多収穫するためには、樹づくりが最優先です。
初期には実に栄養を回さず、カラダを大きくすることに集中することがポイントです。

追肥で育てていく

 ナスの栽培_追肥を与える場所
ナスの収穫が始まったら、10日〜14日に一度を目安に定期的に追肥していきます。
なお、肥料を吸う「吸収根」は、葉が手を広げているその下あたりにあります。

最初の追肥は畝の肩ぐらい、木が大きくなってきたら、畝ではなく通路に追肥するようにします。
水切れにも十分に注意します。

ナスは水がたくさん必要ということもありますが、そもそも、水がなければ肥料を吸えません。
植物の根は、水に溶けたものしか吸収できないからです。

菌を味方につけよう

大量な水が必要なナスは、一方で酸素不足にも弱く、過湿になれば根腐れを起こしてしまいます。
また、与えた有機質肥料(アミノ酸肥料)は、常に水に濡れている状況になり、腐敗しやすくなります。

そこで、追肥する際には、酵母菌や乳酸菌を一緒に使うと効果的です。

酵母菌は、水が多く空気のない環境でも有機物を効率よく分解してくれる菌。
乳酸菌も、空気のない環境で活躍し、腐敗の防止や雑菌の繁殖を抑えてくれる効果があります。

菌の培養方法、使用方法は、書籍で詳しく解説しています。

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ナスで重要なミネラル/カリウムとカルシウム

ナスは、カリを通常の20〜30%増しにすると、柔らかな実を多収穫できるうようになります。
また、カルシウムが不足すると腐りが出やすく、特に暑い時期のカルシウム不足は厳禁です。
その他の微量要素ミネラルも全般的に多く必要とするので、元肥でしっかりと入れ、追肥でも補う必要があります。

寒さは苦手

ナスは秋遅くまで栽培できますが、寒さは苦手で、霜にあたると一気に終了になります。
また、春苗を植えたあと、遅霜にあたるとダメになってしまうので、5月の下旬くらいまでは、注意が必要です。

肥料袋で保温するなど、5月中は保温+風よけをしてあげるのが効果的です。

ナスの夏休み/更新剪定

真夏、7月下旬から8月上旬に、枝の先端から半分程度切り戻すことを「更新剪定」と言います。
ナスの生育適温は23℃〜30℃。

真夏は少し株を休ませてあげましょう。
秋になり、涼しくなってくる頃には再び元気になり、また収穫が出来るようになります。

プランターでナス栽培

ナスは根が広く深く張り、枝を広げて実をたくさんつけるため、プランターで栽培する場合は深型ものを使用します。

畑では3本仕立てで育てるのが一般的ですが、プランターでは主枝+側枝1本の、2本仕立てでの栽培がおすすめです。

まとめ

果菜類の中でも、ナスはもっとも土づくりが影響します。

土がふかふかで根がしっかり張れないと、その後にいくら肥料や水をやっても良いものは穫れません。
書店にある一般的な家庭菜園向けの本を読んでも、「良いナスが山ほど穫れた!」というい風には、なかなか上手くいかないのがナスの難しさです。

また、解説したように、ナスは、一番果、二番果を大事に育てるよりも、早く大きなカラダを作っていくことが最優先です。
初期には実に栄養をとられないようにし、カラダ作り優先に育てることで、その後の収穫量が何倍にも変わります。

そのことを踏まえ、初期についた実は、心を鬼にして、早めに穫ってしまってください。

ナスについては、今後の記事で、さらに詳しく掘り下げてご紹介していく予定です。

それではまた。

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