マンションやアパートのベランダで野菜をよく育てるには
こんにちは。三澤です。
マンションやアパートで、初めてベランダ菜園に挑戦した人向けに、成功させるポイント、野菜を育てる際の注意点をお話しします。
プランターや鉢など、移動できる容器で栽培することを「コンテナ栽培」という言い方もします。
畑とはだいぶ環境が違いますが、いくつかのポイントさえおさえれば、プランターでも畑で育てる以上に美味しい野菜が育てられます。
露地で育てるのとは違う面白さ、また、かえってプランターの方が良く出来ることもよくあるので、ぜひ挑戦してみてください。畑がある人も、同時にプランターでも栽培してみると楽しいと思います。
1つ、一番注意してもらいたいのは、プランターでの野菜づくりは、畑の場合とははまったく環境が異なるということです。
畑とプランター菜園、最大の違いと特徴
畑と比べ、プランター栽培を行う際に一番意識したいのは、プランターはあくまで『人工的な環境』であるということです。
よくある間違いとして、野菜がすごく良く育っている畑の土を、そのまま持ってきてプランターに入れても上手くいきません。
プランター栽培では、水はけ、通気性が良く、保水性、保肥性の良い土であることがとくに重要になります。
この条件は畑も同じですが、畑の土をそのまま持ってきても、プランターに適した土の条件を満たすことはできないのです。
プランターや鉢といった人工的な環境に合わせるためには、数種類の用土をブレンドして作る必要があります。
ホームセンターなどで培土を購入するなら、出来るだけ余計な肥料分の入っていない、ほぼ無肥料の、一番安いタイプのものを使用し、育てる野菜に合わせて、過不足なく肥料・ミネラルを入れることがオススメです。
一言で「野菜の培養土」といっても、野菜の種類によって、必要な肥料の量は様々だからです。
野菜に適した場所を選ぶ
畑でもベランダでも、共通して大切なのは、野菜が光合成を行うための「光」です。
プランターを置く場所は、南向き、または東南向きの日当たりのいい場所が適しています。
必ずしも日当たりの良い場所ではなくても、住んでいるマンションやアパートの環境に合わせ、日照条件に適した野菜を選ぶことで、さまざまな品種を栽培することができます。
日当たりの良い場所を好む野菜
日当たりのいい場所を好む野菜には、トマト、ナス、キュウリ、ピーマン、ズッキーニ、オクラ、などの果菜タイプのほか、エンドウ、ソラマメ、落花性などのマメタイプ、キャベツ、ハクサイといった外葉タイプがあります。
これらの野菜は、日中およそ6時間以上日が当たる場所でよく育ちますが、それ以下では無理ということではありません。
ただしやはり、最低半日以上は光のあたる場所が望ましいです。
日照時間が少なめでも育ちますが、木の大きさは小さくなり、実の数は少なくなります。
半日陰でも育つ野菜
一日のうち、3〜4時間くらい陽が当たる半日陰なら、ホウレンソウや小松菜、カブ、レタス、春菊(シュンギク)、ネギ、イチゴ、じゃがいも、里芋、生姜、アスパラガスなどの野菜がオススメです。
日陰でも育つ野菜
一日のうち1〜2時間程度しか日がささない日陰の場所では、三つ葉、大葉、ニラ、茗荷(ミョウガ)など、日陰でも問題なく育つ野菜を選ぶと良いでしょう。
三つ葉、大葉などは、日差しが強すぎると、かえって葉が硬くなって美味しくなくなる性質があるので、日陰での栽培に向いています。
ベランダ菜園でよくある失敗と注意点
ベランダ菜園でよくある失敗①/水のやりすぎ
ベランダ菜園で多い失敗は水のやりすぎです。
小さなプランターは、たしかに土が乾きやすく、こまめな水やりが必要です。
ですが、水が多すぎると根腐れを起こしてしまいます。
家庭菜園で多いのが「水のやりすぎ」による失敗です。
基本は、土の表面が乾いたらやることを水をあげること。
ただし、土の表面が乾いているように見えても、中はしっかり湿っていることがあるので、水分チェッカーなどを差しておくと便利です。
プランターの野菜づくりを成功させるには、適切な水分を保つことがもっとも重要な課題と言えます。
畑なら多少水やりを忘れてもなんとかなりますが、プランターの場合、2〜3日水やりを怠っただけでしおれてしまいます。
とくに夏、高温期のプランターでは、朝と夕方、乾いていたらあげるようにします。
水やりの量
水やりの量は、鉢底から少し流れ出る程度か、その寸前で止めるのがポイント。
あまり多くやりすぎると、肥料が流れ出てしまいます。
ベランダ菜園でよくある失敗②/肥料のやりすぎ
プランター栽培のよくある失敗の2つ目は肥料のやりすぎです。
つい頻繁に面倒をみてあげたくなるので、肥料を与える回数が多くなりがちです。
また、追肥する際は、根を傷めないように、できるだけ中心から少し離した毛細根(吸収根)のある上あたりに施すようにしましょう。
基本的に、野菜の株元には吸収根はありません。これは畑の野菜も同じです。
鉢やプランターが小さい場合は、一番遠いところ、縁ぞいに与えるようにします。
なお、肥料のやりすぎは問題ですが、プランターでは水やりによって肥料が流れやすく、養分を吸収できる空間も少ないため、養分不足になりやすいという面もあります。
このため、プランター栽培で入れる元肥の量は、路地での40%増しが目安です。
栽培中も、畑と比べて追肥の必要回数が多くなります。
「●○週間に1回」といった教科書通りのセオリーにとらわれず、葉の色、生長の様子をよく観察しながら追肥をしていきましょう。
ベランダ菜園でよくある失敗③/風通しが悪い
よくある失敗の3つ目は、風通しの悪さです。
野菜の生長には日当たりだけでなく、風通しが良いことがとても重要。
葉が混み合いすぎていると、陰になった葉は光合成ができなくなります。
また、風が通らずいつもじめじめとした状態では、ウドンコ病やベト病など、カビを原因とした病気の多発を招き、害虫の被害にも遭いやすくなります。
適切な間隔に間引く、混み合いすぎた葉は思い切って整理することが必要です。
ベランダ菜園でよくある失敗④/夏場の高温
よくある失敗の4つ目、意外と盲点なのが夏の暑さです。
夏、日向に置かれたプランターの中は、50℃、60℃以上にもなります。
そのような酷暑で野菜が元気に育てないことは、想像してみればよくわかると思います。
水や肥量、風通しはどれも大切ですが、夏の大敵は熱さです。
熱いコンクリートの上に直接プランターや鉢を置かない、日差しを遮るものを置く、二重鉢、二重プランターにする、といった熱さ対策を行います。
ベランダ菜園のよくある失敗⑤/雨で水びたしになる
よくある失敗の5つ目は、プランターが雨ざらしになって雨に打たれるままになっていること。
普段は日の当たる場所に出しておき、雨が降った時は、直接雨の当たらない軒下などにプランターを移してあげるようにします。
プランターが水に浸しになってしまうのが良くないのは言うまでもありません。
根が傷み、肥料が流れてしまいます。
また、直接雨に当てないことで、泥はねを防ぎ、病気にもかかりずらくなります。
そういう意味では、自分が持てる重さのプランターを選ぶことも、大事な要素です。
畑とは違う、プランター栽培の大きなメリットは、移動できることだからです。
まとめ/ベランダ菜園で野菜をよく育てるために
以上、ベランダ菜園で野菜をよく育てるために、注意したいポイントを挙げました。
プランター菜園を成功させる一番のコツは、畑の延長線上のような感覚で栽培をしないことです。
そもそもあくまで人口的な環境であること、畑で育てるときとは大きな違いがあることを意識して栽培することが成功の近道です。
- 野菜が必要とする日照条件に適した場所を選ぶ
- 水のやりすぎ(やらなすぎ)に注意する
- 肥料のやりすぎ(やらなすぎ)に注意する
- 風通しをよくする
- 夏場、プランターの中を熱くしすぎない
- プランターは直接雨の当たらない場所におく(天候によって移動させる)
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