果菜類の育て方(トマト・ナス・キュウリ・スイカなど)/家庭菜園 初心者向け

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果菜類の育て方(トマト・ナス・キュウリ・スイカなど)/家庭菜園 初心者向け

果菜類の育て方/栄養生長と生殖生長を同時に続けていく

トマト・ナス・ピーマン・パプリカ・キュウリ・カボチャ・スイカ・メロンなど

こんにちは。三澤です。
「果菜類」に分類される野菜は、トマトやナス、キュウリやカボチャといった、実をつける野菜たちです。
カラダを大きくする「栄養生長」と、光合成によって作られた炭水化物を使って花を咲かせ、実を大きくする「生殖生長」を同時に行っていくのが特徴です。

「栄養生長」、「生殖生長」とは?

果菜類の2つのパターン

果菜類は、大きく2つに分けて考えると、栽培のポイントがわかりやすくなります。

果菜類の2つのタイプ
  1. 一度収穫して終わりのタイプ(スイカ、メロン、カボチャなど)
  2. 繰り返し収穫を続けるタイプ(ナス、トマト、キュウリ、ズッキーニ、オクラなど)

このうち、繰り返す収穫するタイプの野菜は、何度かの追肥も必要になります。
一度収穫して終わりの野菜は、元肥でしっかり肥料を与えれば、基本追肥しなくても育てることが出来ます。



果菜類① 1度収穫して終わりのタイプ

果菜類① 1度収穫して終わりのタイプ

完熟するまで育て、1度収穫して終わりのカボチャ、スイカ、メロン、といった野菜は、体を大きくする「栄養生長」から、実を充実させる「生殖生長」へと、はっきり切り替えていくことが、甘味、美味しさを増すポイントです。
実をつけ始めるころには、チッソ分は、体を維持する最低限まで切れているのが理想的です。

いつまでもチッソ分が効いていると、美味しくなくなるだけではなく、肥料が多すぎれば、実がつかなくなる「つるボケ」という現象が起きてしまいます。
基本は元肥だけで育てますが、土の保肥力が弱い、実を大きく太らせたいといった時には、生育の初期に、花が咲いて実が大きくなり始める前のタイミングで、ツルが伸びる先に薄く肥料を与えます。

追肥する場合も、いつまでも肥料が効いていると味を落としてしまいます。

果菜類② 繰り返し収穫を続けるタイプ

果菜類② 繰り返し収穫を続けるタイプ
長い期間、繰り返し何度も収穫するトマトやナス、キュウリ、ズッキーニといった野菜は、体を大きくする生長と並行して実をつけていきます。
このため、元肥だけでは養分が切れてしまうため、途中で何度か追肥を行う必要があります。

光合成を最大化させるにはミネラルが重要

どちらの果菜類にも共通して、美味しく育つためになによりも大切なのは、光合成がしっかり行えることです。
常に、チッソよりもミネラルが優先して効くことが重要です。
追肥では、不足したミネラルをまず与え、そのうえでチッソを与えます。
チッソが優先するようになると、軟弱な生育になり、とくに果菜類では病害虫に悩まされることが多くなります。

根がよく張れるふかふかの土を維持しよう

果菜類は、栽培期間が半年以上にもなる場合も珍しくありません。
たとえば5月に植えたナスの苗は、中間地なら、11月の初旬頃まで収穫が出来ます。
その間、根から養水分の吸収をスムーズに続けられるかどうかが、良い果実を収穫しつづける最大のポイントになります。

そのためには、根のまわりに十分な酸素があり、呼吸が出来ること。
呼吸が出来なければ根は肥料や水を吸うことが出来ません。最悪、枯れてしまいます。
つまり、栽培期間中ずっと根がイキイキと伸びられる「団粒構造」を持った土であることが重要になります。

しかし、最初にふかふかな土作りをしても、時間がたてばたつほど、次第に土は硬くなっていきます。
良い土を維持するには、最初に太陽熱養生処理を行なって、しっかり土作りをしておくこと。
さらに、栽培期間中も堆肥を追肥することが効果的です。

また、太陽熱養生処理によって、土に潜む病原菌や害虫を、あらかじめ抑えておくことも、非常に重要なポイントになります。

「太陽熱養生処理」関連記事


ミネラルを切らさない/カルシウム欠乏に要注意

長い栽培期間中、ずっとミネラル肥料が効いて光合成を十分に行えるようにするためには、水溶性ものとク溶性(根から出る根酸や土壌の有機酸で溶ける)を合わせて与えると、長期にわたって効き目が持続します。
亜鉛、銅などの微量要素は、元肥で必要量与え、追肥では即効性のある水溶性の資材を与えます。

おおくのミネラルの中でも、果菜類の栽培で、特に注意したいのはカルシウム(石灰)の不足。
症状としていきなり現れるため、追肥ですぐに改善するのは難しい面があります。

元肥におすすめカルシウム資材は、「牡蠣殻石灰」。
粉状(溶けやすい)と、粒状(溶けにくい)を併せもっているため、早く効く初期の肥効と、ゆっくり効く長期の肥効を兼ね備えています。


追肥には炭水化物の多いアミノ酸肥料がおすすめ

繰り返し収穫する果菜類の追肥には、花をつける「生殖生長」に入ってから行います。
しかし、追肥で必要なチッソ分は、あくまで体を維持するため。
体の生長を続けながらも、実を美味しくする炭水化物を豊富に持ちたいため、チッソ成分が低く、炭水化物を多く持ったアミノ酸肥料(チッソ肥料)がおすすめです。
チッソが多いと、カラダを大きくする栄養生長が強くなりすぎ、光合成で作られる炭水化物を実の充実に向けることが出来ないからです。

追肥はミネラルを先に効かせてから

チッソ肥料の追肥は、先にミネラル肥料を与え、その後ひと雨降るのを待ってから、あるいは水やりをしてミネラルが野菜にしっかり吸収されてから、アミノ酸肥料(炭水化物つきのチッソ)を与えます。
チッソが先に効いてしまうと、病気や害虫を招きやすくなるからです。

それではまた。

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