カリウム(K)/野菜の肥料・養分【欠乏症と過剰症】

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カリウム(K)/野菜の肥料・養分【欠乏症と過剰症】

根の生長に欠かせない「カリウム」

こんにちは。三澤です。
野菜を良く育てるために必要な肥料、養分の解説シリーズ、今回は「カリウム(K)」です。

カリウムは、根の発育を促進するため「根肥」とも呼ばれ、肥料の「三大要素」の1つ。
短く「カリ」と呼ばれることの多いカリウムは、根の成長に欠かせないだけでなく、炭水化物の合成に欠かせない要素で、タンパク質の合成にも大きな役割を果たしています。

カリウムは野菜の細胞液の中に溶けていて、光合成による炭水化物(糖)の合成を助け、野菜の体内で糖を移動させるためにも重要な役割を果たしています。
不足すれば、光合成で作られた炭水化物を根に運べず根が伸びなくなり、野菜の生育全体が悪くなります。
「根肥」と呼ばれますが、果樹や、トマトやナス、キュウリなどの果菜タイプでは「玉肥」と呼ばれるほどで、カリを効かせることで、果実がよく肥大します。

果実がよく実れば実るほど、カリも多く吸収されるため、繰り返し収穫するトマト、ナス、キュウリなどの野菜では、追肥で補っていく必要があります。

また、カリには水分調節の役目もあります。
カリが十分にあると、水分の蒸散が抑えられ、暑さ寒さへの抵抗力も高まります。

作物の生長に、非常に大きく影響するミネラルがカリウムです。



カリウムの欠乏症

野菜の生長にに欠かせないミネラル「カリウム」

カリは植物の体内での移動性が高いミネラルです。
チッソに次いで、土壌から流れやすい養分で、とくに砂質や、腐食の少ない土壌では流れやすく、欠乏すると下葉から、葉の縁が黄色く変色します。
また、根の伸びが悪くなり、根腐れ、株が倒れやすくなります。

カリが不足すれば光合成によって作られる炭水化物が減少します。
このため、消化されなかったチッソが増え、害虫が増えやすくなります。
カビを原因とするウドンコ病などの病気はキュウリやカボチャといったウリ科の野菜の大敵ですが、ウドンコ病がよく出る場合、カリ欠乏が原因となっているケースが多く見られます。



果菜タイプでは、カリが不足すると、果実が大きくならなくなり、トマトの繊維が黒くなったり、ナスの伸びが悪くなり、カチカチの「石ナス」になるなど、よい実がつきません。
カリ欠乏の症状のタイプには主に3つあります。
葉の縁から黄化するもの、葉に不規則な斑点を生じるもの、葉脈に異常をきたすものです。

カリ欠乏は、初期生育で見られることはあまりなく、生育がある程度進んでから、また、果実の肥大期になってから、あらわれやすい特徴があります。
カリは炭水化物の合成にもっとも影響が大きい要素で、果菜タイプやイモ類タイプで、欠乏症が現れやすくなります。

カリ不足により、炭水化物の合成量が少なくなれば、野菜の体を守るセンイの量も少なくなり、その結果、病害虫の被害を招きやすくなります。
炭水化物が減れば、果実の糖度やビタミンの減少にも直結します。

カリ欠乏は、チッソが過剰になると起きやすくなります。
さらに、カリが不足すれば、鉄欠乏の症状も起こります。
カリは土壌にチッソが適量あるときに吸収されやすく、土壌が酸性に傾くと、カリの欠乏が起きやすくなります。
マグネシウムが過剰な場合も、カリが吸収されにくくなり、欠乏症が起こりやすくなります。
欠乏の症状が起きてから追肥するのでは間に合わないため、まずは元肥で十分な量を入れることが大切です。
栽培期間の長い野菜では、適時追肥で補っていく必要があります。

カリウムの過剰症

カリウムは過剰障害の起きにくいミネラルですが、過剰になると、他のミネラルとのバランスが崩れ、そのために生育が悪くなります。
カリ過剰では、カルシウムやマグネシウム、チッソ、リン酸が吸収されにくくなり、各要素の欠乏症があらわれます。

根菜タイプのダイコン、カブ、ニンジンなどでは、カリが多いと「割れ」が出やすくなります。
とくにニンジンは、施用量を控えることで割れを抑えることが出来ます。

注意が必要なのは、毎作当たり前のように、多量に牛ふん堆肥、豚ふん堆肥(どちらもカリを多く含む)を施している畑です。

熱心に家庭菜園に取り組んでいる人ほど、養分過剰による病害を招きやすい傾向にあるので注意しましょう。
大切なのは、「足りている養分は与えない。過剰に施肥しない」という基本を忘れないことです。
堆肥や肥料を何年もしっかり入れてきた畑は、一度土壌分析をしてみると良いでしょう。
すでに土壌にしっかり含まれていて、これ以上与える必要のないカリウムを入れ続けているかもしれません。
その結果、病害虫に悩まされているケースが、決して珍しいことではなく、よくあるからです。

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