ライフステージを意識すると野菜づくりが上達しやすい
こんにちは。三澤です。
これから家庭菜園を始めてみたいと思っている人、野菜作り初心者でも、病気や害虫に強い野菜を作ってみたい方向けに、野菜を大きく、タイプ別に紹介します。
野菜の生育を人の一生にたとえてみると、野菜をその一生のどんな段階で収穫するのか、いつ、どのぐらいの肥料を与える必要があるか、その理由もわかりやすくなります。
初めての家庭菜園、ベランダ菜園でも、上手に野菜が作れるようになる大切なポイントになります。
ぜひ意識するようにしてみてください。
収穫せずに置いておけば子孫を残す段階へ
どの野菜も、収穫しないでそのまま育てれば、最後には子孫を残して枯れる、という道をたどります。
これは、人間の一生にたとえて考えてみると、その野菜がどんなタイプなのかがとてもわかりやすくなります。
意識したいのは、野菜の一生のうちのどんな段階で摘んでしまうのかということ。
これを意識しておくと、肥料を与える理由や、上手く育てるポイントが腑に落ちるようになってきます。
- 種から芽が出る(生まれる)
- 苗が大きく育ちはじめる(小学生から中学生)
- 葉や茎が次々と伸びカラダが大きくなる(高校生から成人)
- 花が咲いて実が成る(子供が生まれる)
- 枯れる(一生を終える)
野菜の一生は、およそこんな過程を進みます。
生育の段階や、それぞれの野菜の大きさによって、肥料の与え方や量、追肥の仕方が変わってくることがポイントで、大きくなる野菜や、栽培期間が長い野菜では、そのぶん肥料も多く必要になります。
さらに、タネを残すところまで生長する野菜では、大きなエネルギーが必要になります。
① 葉菜タイプ
ホウレンソウやコマツナ、シュンギクといった葉菜タイプは、生育のまだ早い段階で収穫します。
人の一生で言うと、幼児期から小学生、中学生ぐらいの時期にあたります。
野菜の気持ちとしては、本来ならそのまま生長を続けたいところですが、途中の段階で摘んで食べるわけです。
葉菜タイプは生育の期間が短く、栽培は初心者でも難しくありません。
体も小さいため、必要とする肥量の量も当然少なくなります。
基本的に、追肥も必要ありません。
② 外葉タイプ、③ 根菜タイプ、④ イモ類タイプ
ハクサイやタマネギといった外葉タイプ、ニンジンやゴボウ、大根といった根菜類、ジャガイモやサツマイモといったイモ類タイプは、葉菜タイプよりもさらに生長してから収穫します。
初期には葉を大きく育て、ある程度大きくなってから、人間が食用部分とする結球部や、地下のイモなどを肥大させていきます。
別の記事で説明しますが、このタイプは「擬似生殖生長タイプ」と呼ばれます。
実をつけて子孫を残す「生殖生長」までは行かないのですが、生育の仕方、肥料の与え方は、生殖生長タイプの野菜に似ているからです。
⑤ 果菜タイプ、⑥ マメ類タイプ
さらに生育が進んだ段階で収穫するのが、家庭菜園でもっとも人気のある果菜タイプ、マメ類タイプです。
トマト、ナス、キュウリ、ピーマン、パプリカ、ズッキーニ、カボチャ、スイカ、メロン、枝豆、スナップエンドウ、落花生、ソラマメなど、家庭菜園で人気のある野菜の多くは、「生殖生長タイプ」に分類されます。
これらの野菜は、初期から旺盛に生長し、体を十分に大きくしてから実をつけます。
ライフステージの図のとおり、野菜の生育後半に入ってからの収穫です。
栽培期間が長く、生長のために必要とするエネルギーも当然多くなります。
生殖生長タイプにも2種類ある
ここでポイントになるのが、実をつける「果菜タイプ」「マメ類タイプ」は、大きく2つの生育に別れる点です。
この違いにより、肥料の与え方が大きく変わります。
一度に収穫して終わりのタイプ
スイカ、メロン、カボチャ、エダマメなど
カラダをつくったあとは、実に養分を集中させ、一気に収穫して終わりになるタイプです。
BLOFの栽培では、これらのタイプは基本追肥は行いません。
肥料分の流れやすい砂質土や、保肥力の低い土壌では追肥を行うこともありますが、生育後半にチッソ肥料を与えると、病害虫に遭いやすくなったり、品質を落とす可能性が高くなるのでで注意が必要です。
繰り返し収穫を続けるタイプ
トマト、ナス、キュウリ、ズッキーニ、ピーマン、オクラ。イチゴ、スナップエンドウ、インゲンなど
これらの野菜は、連続して長期に収穫を続けていく野菜です。
カラダを大きくしていく「栄養生長」を続けながら、同時に子孫を残す(実をつける)「生殖生長」を行なっていきます。
長く良い果実を収穫していくには、光合成で作られる「炭水化物」と、養分として吸収し、カラダを維持する「チッソ」とのバランスが非常に重要になります。
実を美味しく、多収穫にするのは炭水化物ですが、チッソがなければ生育を維持できません。
しかしチッソが多すぎれば、カラダばかり大きくなって実がつかないという「ツルぼけ」を起こしてしまいます。
これも、人間の一生にたとえてみるとわかりやすいと思います。
赤ちゃんをみごもったお母さんは、お腹の赤ちゃんにたっぷり栄養をあげる必要がありますが、お母さん自身にも栄養が必要だということです。
常に「栄養生長」と「生殖生長」を同時に続けていく果菜タイプやマメ類タイプは、最初に元肥で与えた肥料だけでは足りず、追肥が必要です。
樹勢を衰えさせず、生育を維持しつづけるようにしなければ、長く期間、良い実を収穫していくことは出来ません。
種までつくるタイプが一番エネルギーを必要とする
実を穫る果菜タイプの中でも、キュウリ、ナス、ピーマンは未熟果物を穫ります。
それに対して、スイカ、メロン、カボチャは完熟果を収穫するタイプ。
その野菜が生育を通して蓄えてきた養分のすべてを、完熟果に集中させます。
植物にとって、果実をつけるのは最終的には種をつくるため。
子孫を残すためです。
種を作るためには、もっともエネルギーを必要とします。
⑦ その他の野菜・ハーブ類
これまでの6タイプに分類されないものが「その他の野菜・ハーブ類」です。
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