3つのタイプで考える野菜の育て方「栄養生長型」「擬似生殖生長型」「生殖生長型」
こんにちは。三澤です。
野菜のライフステージや肥料養分の吸収の仕方によって、野菜のタイプを大きく3つに分けて考えるとわかりやすくなります。
「栄養生長型」、「擬似生殖生長型」、「生殖生長型」です。
これを考えるときに、まず野菜の生育を人の成長に合わせて考えてみると、理解がしやすくなります。
「野菜のライフステージ」は以下を参照してください。
① 栄養生長型
栄養成長型は、茎や葉を伸ばしてカラダを大きくする生長段階で収穫する野菜です。
この段階では、炭水化物は主に細胞と、カラダを守るセンイづくりに使われ、生長の途中で収穫をします。
ホウレンソウ、シュンギク、コマツナなどの葉菜類が「栄養生長型」です。
このタイプは、生き生きとした緑の葉を収穫するため、栄養生長が盛んなとき、元肥がまだしっかり残っている段階で収穫します。
次の作では、土に残された肥料分を考慮して肥料を与える必要があります。
栄養生長型の野菜は、栽培期間が短く、元肥だけで育てることが基本です。
このタイプの注意点は、収穫した野菜に硝酸イオン(チッソ)が残らないように、施肥や土づくり、水の管理を行うこと。
硝酸が多ければ、味も栄養価も低くなってしまうからです。
② 擬似生殖生長型
葉菜タイプよりも生育が進み、炭水化物を特定の部位に蓄えるのが「擬似生殖生長型」の野菜です。
花を咲かせ実を成らせる「生殖」とは違うため、BLOFでは「擬似生殖生長型」という呼び方をします。
ハクサイ、キャベツ、タマネギといった「外葉(がいよう)類」、ニンジン、ダイコン、ゴボウなどの「根菜類」、ジャガイモ、サツマイモ、サトイモなどの「イモ類」の3タイプがここにあてはまります。
葉菜タイプよりもさらに生長が進んだ段階で収穫するため、そのぶん栽培期間は長くなり、必要とする養分も多くなります。
種から苗に育つ際のスタートダッシュを良くし、生育初期に早く大きな葉を展開させて、光合成がしっかり出来るようにすることがポイント。
栄養生長が進んでチッソ肥効が落ちて生育がゆっくりになってくると、根や茎、結球部など、人間が食べる特定の部位に炭水化物を貯めるようになります。
イラストは『BLOF理論で有機菜園 〜初めてでもうまくいくしくみ〜 』三澤明久 著/小祝政明 監修 より
「擬似生殖生長型」の野菜は、一般的な本では追肥をするように書かれていますが、BLOFでは基本は追肥は行わず、元肥だけで育てることが出来ます。
ただし、砂質土で肥料分が流れやすかったり、実を太らせたい場合などは、追肥を行う場合があります。
また、追肥を行なって収穫部を太らせることもありますが、注意点は、病害虫の被害に遭いやすくなったり、実の味を落とすことになりやすいこと。
ハクサイやキャベツの結球や、イモが肥大する時期には、チッソ分を落としていくのが成功のコツです。
③ 生殖生長型
栄養生長でカラダを大きくし、花や実(子孫)づくりに行うようになってから収穫するのが「生殖成長型」の野菜です。
トマト、ナス、キュウリ、ピーマンといった「果菜類」、エダマメやスナップエンドウ、ソラマメといった「マメ類」が「生殖生長型」があてはまります。
生長が進んだ段階で収穫するため、栽培期間も長く、そのぶん肥料も多く必要になります。
長い栽培期間中、根が健康に生育を続けられるように、やわらかくふかふかな土(土壌団粒の発達した土)を維持することが品質の良い野菜を長期に多収穫するポイントです。
生殖生長型の野菜は、実や種に養分を貯めながらも、カラダを維持する必要があるため、何度か追肥が必要になります。
栽培中の肥料切れやミネラル切れを起こさないことがとても大切です。
栄養生長期にはどんどんカラダを大きくしますが、生殖生長期に入ると、炭水化物を実に貯めていく方向に切り替わっていきます。
植物は全般に、カラダにチッソが多いと栄養生長を続け、チッソがなくなってくると、光合成で作られた炭水化物を生殖生長に使うようになるという性質があります。
まずカラダづくりをして葉を大きくし、光合成で十分な炭水化物を作れるようになってから、子孫を残すために花を咲かせ、実を作るようになります。
こうして見ると、植物の生長過程とは、カラダの中のチッソをだんだん減らし、炭水化物をだんだん増やしていく過程と考えることが出来ます。
す。
さらに7つの分類に分けてみる
野菜の育ち方を、大きく3つに分けて考えたあとは、さらに7つのタイプに分けて考えると、野菜つくりのパターンがよりはっきりと見えてくるようになります。
7つのタイプとは、
- 葉菜類
- 外葉(がいよう)類
- 根菜類
- イモ類類
- 果菜類
- マメ類類
- その他の野菜
です。
以下のページで解説していますので、併せてお読みください。
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