花や実をたくさんつける「リン酸」
こんにちは。三澤です。
野菜を良く育てるために必要な肥料、養分の解説シリーズ、今回は「リン酸(P)」です。
リン酸は植物の生命、エネルギーの代謝を司る重要なミネラルです。
「花肥、実肥」と呼ばれることが多いリン酸ですが、不足すれば、そもそも野菜は生長することが出来なくなります。
リン酸は、生育の盛んな成長点、芽や根の先端、実といった部位に集まる性質があり、新しい細胞を増やしていくうえで欠かせません。
過不足なく、適量のリン酸が吸収されると、野菜の生育全体が良くなり、花や実が良くつき、果実の肥大も良くなります。
ダイコンやニンジンなどの根菜タイプの野菜では、根の発育が良くなり、大きなものが穫れるようになります。
とくに、活発に細胞を作っていく生育初期に、リン酸が十分にあると、その後の生育も良くなります。
リン酸の欠乏症
リン酸は、植物の体内で移動しやすく、活動の盛んな新葉、生長点に移っていく性質があります。
このため、欠乏症は下葉から黄化し、赤紫色を帯びます。
また、全体の葉色が光沢のない濃緑色になり、茎も太りません。
ただし、そのようなはっきりとした欠乏症が見られるのは稀です。
相当著しい欠乏では限り、外見的な異常はあまり見られません。
不足すると、全体の生育が悪くなり、花や実がつかない、ついても大きくならないということが起きます。
リン酸は追肥では効きにくく、欠乏症があらわれてからの追肥では、リカバリーが難しいため、元肥で必要量をしっかり与えることが大切です。
リン酸の過剰症
肥料三要素の中でも、リン酸の過剰は、チッソ、カリと比べて、症状としてあらわれにくく、見分けも難しいため、あまり気にされていません。
しかし実際には、リン酸過剰のケースは多く、土壌病原菌を増やし、根こぶ病、根腐れ、センチュウなどの病害虫が増え、タマネギでは玉が軟弱となっておこる乾腐病や、シュンギクの芯枯れなども知られています。
また、リン酸が過剰になると、鉄、マンガン亜鉛、銅、カルシウムといった微量要素の吸収が阻害されるため、各ミネラルの欠乏症があらわれます。
原因がわからない生理障害や病気が頻繁に起こる場合、リン酸が過剰になっていないか、土壌分析を行なって調べてみましょう。
とくに、鶏糞、米ぬかなどを長年与えている畑では、リン酸が過剰になっているケースが多く見られます。
過剰になってしまった土壌は、次作ではリン酸を施用しない、控えるといった施肥が考えられますが、リン酸は土からの流亡、移動がほとんどないため、いったん過剰になってしまった状態を解消するのは容易ではありません。
リン酸過剰の畑を正常な状態に戻すには、何年もの年数や手間がかかります。
リン酸過剰を起こさないためには、そもそも過剰に入れすぎないことが、何よりも大切です。
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