(イラストレーションNo.db001)
イラスト/村上春樹「レタスとスモークサーモンのサンドイッチ」
こんにちは。イラストレーターのAkihisaです。
村上春樹の小説「ダンス・ダンス・ダンス」に出てくる「レタスとサーモンのサンドイッチ」を想像して描いてみました。
「2分イラストレーション」という括りを一応自分で作って、手早く簡単に、落書きに近い感覚で毎日1、2点描いてみよう、ということで少し前から始めた個人的シリーズのイラストです。
いつもその日の気分で適当に何を描くか選ぶんですが、選ぶ題材が圧倒的に”食べ物”が多いことに自分で気づき、せっかくだから、「小説に登場する食べ物を描いてみよう」ということで。
まずは村上春樹の「ダンス・ダンス・ダンス」を久しぶりに手にとりました。
この小説には、料理の描写がかなり多かったことを思い出したので。
「レタスとスモークサーモンのサンドイッチ」は、講談社文庫版「ダンス・ダンス・ダンス」では、上巻327ページに登場します。
ユキから電話がかかってきて「なにしてるの?」と聞かれて「僕」が答えるシーンです。
「そろそろ昼食を作ろうかなと思ってたんだ。
ぱりっとした調教済みのレタスとスモーク・サーモンと剃刀の刃のように薄く切って氷水でさらした玉葱とホースラディッシュ・マスタードを使ってサンドイッチを作る。
紀ノ国屋のバター・フレンチがスモーク・サーモンのサンドイッチにはよくあうんだ。
うまくいくと神戸のデリカテッセン・サンドイッチ・スタンドのスモーク・サーモン・サンドイッチに近い味になる。
うまくいかないこともある。
しかし、目標があり、試行錯誤があって物事は始めて成し遂げられる」「馬鹿みたい」
村上春樹「ダンス・ダンス・ダンス」(上)講談社文庫より引用
「食」の描写が多い村上作品
村上春樹の小説は、食べ物の描写がとても多く登場します。
外で食べるシーンもよく出てきますが、自分で作る時の、細かな描写がたくさんある。
「ダンス・ダンス・ダンス」は、他の作品と比べても、特に食べ物のシーン、食べ物への言及が多いんじゃないかと思います。
よく出てくる「サンドイッチ」と「パスタ」
村上作品の中でも、とくによく登場するのが「サンドイッチ」と「パスタ」です。
○ 「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」 若くて太ったピンクのスーツ、ピンクのハイヒールを履いた女の子が作ってくれる「キュウリとハムとチーズ」のサンドイッチ。
○ 初期の短編「午後の最後の芝生」 昼間から酒を飲む未亡人の「ハムとレタスとキュウリ」のサンドイッチ。
○ 「羊をめぐる冒険」 僕が作る「たらことバターのスパゲティー。
○ 「ダンス・ダンス・ダンス」 五反田くんからの連絡を待ちながら、僕が自宅で作るハムのスパゲティー。
○「ねじまき鳥クロニクル」 妻のいない静かな家で、途方に暮れながら作るトマトソースのスパゲティー。
挙げていくとまだまだキリがないですが、どんな食べ物が出てきたか、あらためて読み返してみるのも面白そうです。
村上春樹作品のこと
僕が初めて村上作品に出会ったのは高校の時、友人から”面白いよ”と勧められた「ノルウェイの森」からで、あまりに面白かったので、その後デビュー作「風の歌を聴け」を図書館で借りて読んだ記憶があります。
すぐにまた次の作品を、次の作品を、という感じで、当時出版されていた彼の小説やエッセイを、わりと短期間のうちにすべて読み終わってしまいました。
十代の半ばに「ノルウェイの森」と出逢って以来、その後もずっと、自分にとって大きな存在の作家さんであり続けています。
「ダンス・ダンス・ダンス」は、今もとても好きな小説です。
村上春樹「ダンス・ダンス・ダンス」
あらすじ紹介
1980年代が舞台。
フリーンランスで「文化的半端仕事」としてライターをしている「僕」は、数年前に泊まった札幌の「いるかホテル」を再訪する。
ホテルの一室で「羊男」と再開し、東京へ戻る僕は、メガネのよく似合うフロントの女性から、ホテルに残された13歳の女の子を一緒に東京へ連れていってくれるように頼まれる。
少女の名前は「ユキ」。
4月の初め、昼にサンドイッチを作ろうとしたその日から、物語は急展開していく。
デビュー作「風の歌を聴け」から始まった「羊」4部作の完結編。
1988年出版の作品。
というわけで、村上春樹「レタスとサーモンのサンドイッチ」のイラストでした。
それではまた。
イラストレーターAkihisaSawada
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