(イラストレーションNo.db003)
イラスト/村上春樹「とことん無反省なハンバーガー」
こんにちは。イラストレーターのAkihisaです。
「本に登場する料理」シリーズのイラスト、3作目。
第1作目に続き、村上春樹の「ダンス・ダンス・ダンス」から、「トマトケチャップがとことん無反省なハンバーガー」を描いてみました。
速読で読み返してみる村上春樹作品
本に登場する料理を描いてみよう、と思い立って、最初に手にしたのが「ダンス・ダンス・ダンス」でした。
細かく読み返していると時間がかかって大変なので、見開き2ページを30秒ぐらいの早読みで頭からざっと目を通しているんですが、今さらながら、料理の描写が多くて楽しいです。
結構な速読で内容をさらっていますが、20年以上前とはいえ、何度も繰り返し読んだ小説だけあって、十分に楽しい。
食や料理の箇所に当たった時だけは、ゆっくりと、超遅読で読み直しています。
「トマトケチャップがとことん無反省なハンバーガー」は、講談社文庫版「ダンス・ダンス・ダンス」下巻、70ページに登場します。
ユキと二人で、ハワイのビーチでゆっくり寝転んで日焼けしたあと、まもなく沈もうとする太陽を見ながら僕が言うセリフです。
「もう帰ろう」と僕は言った。
「日も暮れたし腹も減った。少し散歩してまともなハンバーガーを食べにいこう。
肉がかりっとしてジューシーで、トマト・ケチャップがとことん無反省で、美味く焦げたリアルな玉葱のはさんである本物のハンバーガー」彼女は肯いたが、立ち上がらずにじっとそのままの姿勢でうずくまっていた。
(中略)
「大丈夫だよ。まだ明日がある。何も考えなくていい。明日が終われば明後日がある」と僕は言った。
彼女は僕の顔を見上げ、にっこりとした。僕が手をさしだすと、彼女はそれを握って立ち上がった。村上春樹「ダンス・ダンス・ダンス」(下)講談社文庫より引用
「ダンス・ダンス・ダンス」はユキとのやりとりが楽しい
直接食べるシーンでも、料理をする場面でもなんでもないですが、僕はこのへんのユキとのやりとり、セリフが好きです。
北海道から東京に戻って以来、少しずつ距離を縮め、気のおけない友人になっていく二人は、お似合いのカップルみたいに見えます。
たくさんの村上作品の中でも、僕はユキとのやりとりがとても好きだなと、今回読み返してみて思いました。
五反田くん、そしてユキとのやりとりが、この作品の魅力の大きなウェイトを占めているなと感じます。
作品紹介
失われた心の震えを回復するために、「僕」は様々な喪失と絶望の世界を通り抜けていく。
渋谷の雑踏からホノルルのダウンタウンまで―。そ
こではあらゆることが起こりうる。羊男、美少女、娼婦、片腕の詩人、映画スター、そして幾つかの殺人が―。
デビュー十年、新しい成熟に向かうムラカミ・ワールド。BOOK」データベースより
というわけで、村上春樹「とことん無反省なハンバーガー」のイラストでした。
それではまた。
イラストレーターAkihisaSawada
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