1株から50本以上の収穫を目指す
こんにちは。三澤です。
オンラインの家庭菜園講座でもよくお話していますが、キュウリを1株からたくさん穫るコツの1つは、一つの節から何本もキュウリが穫れるような生育に持っていくことです。
小さな家庭菜園でも、1株、2株から、家族で食べ切れないほどの量が穫れます。
写真は『BLOF理論で有機菜園 〜初めてでもうまくいくしくみ〜 』三澤明久 著/小祝政明 監修 より
大切なのは、なにより光合成で作られる炭水化物を十分に余らせること。
そのためには、しっかりとミネラル肥料を与えて、光合成を最大限行えるようにしてあげること。
果菜類の野菜すべてに言えるのは、炭水化物をどれだけ豊富に持てるかが、収穫量に直結するということです。
さらに、光合成だけに頼るのではなく、堆肥に含まれる水溶性炭水化物と、アミノ酸肥料(有機のチッソ肥料)からも、根からも炭水化物を吸収できるように(太陽の役割を補う)させてあげることが、キュウリを病害虫に強く育て、多収穫するポイントです。
キュウリ栽培の基本データ
科名 | ウリ科 |
食用部分 | 果実 |
病害虫 | アブラムシ、ハモグリバエ、ウリハムシ、ハダニ、ベト病、ウドンコ病、褐斑病、つる枯れ病、炭そ病など |
発芽適温 | 25〜30℃ |
生育適温 | 22〜30℃ |
土壌酸度(pH) | 6.0〜6.5 |
キュウリ栽培の特徴
キュウリは、ヒマラヤ山脈からネパール付近が原産地と言われ、30度までの高温多湿を好みます。
三十数度を越す日本の暑さには本来向いておらず、暑すぎれば樹勢が弱ってきます。
逆に寒さには弱く、12℃以下では生育しません。霜にあたると、一気にやられてしまいます。
キュウリは、トマトやナスと比べて株の寿命が短く、5月上旬に植えた苗は、7月下旬以降の高温では全体が疲れ始め、8月中には枯れてしまいます。
他の果菜類の野菜と比べ、栽培期間の短い野菜と言えます。
キュウリ栽培のポイント
良いキュウリを多収穫する最大のポイントは、本来表層近くに多くある根を、どれだけ深く張らせられるかです。
そのためには、根が伸び伸びと張れるふかふかな土づくりが大切。
太陽熱養生処理を行なってから苗を植えつえることが、効果的です。
根が弱いのに大量の水を欲しがるキュウリは、排水性、通気性も同時に良くなければ、すぐに根傷みを起こし、ミネラルを吸収できなくなり、味も収穫量も大きく落としてしまいます。病害虫も招きやすくなります。
キュウリの整枝
キュウリは、5〜6節目までの脇芽と雌花はすべて取ります。
樹勢を保ち、その後の生育、収穫をよくするためです。
生長するにつれて葉が混み合ってくるので、光や風が通るように、古い葉や疲れて黄色くなった葉は、早めに取り除きます。
親づる(主枝)を伸ばして育てる1本仕立てが一般的ですが、脇芽の子づる2本を伸ばして、合計3本仕立てとするやり方もあります。
キュウリはもともと寿命が短いため、株が元気な収穫最盛期に、どれだけたくさん穫れるかがポイントになってきます。
梅雨明け後の過酷な季節に入ったら
梅雨明け後の高温、乾燥は、キュウリにとって過酷な季節です。
キュウリも見るからに疲れて、弱ってきます。
この時期からは、晴天が続くようなら朝・夕の水やりを欠かさないようにします。
それまで黒マルチを張っていた場合は、ワラのマルチに変えることで、地温上昇を抑え、同時に保湿することがオススメです。
キュウリ栽培の肥料
キュウリは生長が早く、果菜類の中では植えつけから収穫までの時間がもっとも短い野菜です。
花が咲いて1週間もすると食べられるようになります。
キュウリの肥料では、元肥にプラスして、カリウムやケイ酸が豊富な草木灰をうっすらと撒いておくと(1m2 30g程度)、伸びがよくなり、表皮の強いカラダにしてくれるため、病害虫にも遭いにくくなります。
必要な元肥量の目安(1m2あたり)
86g
1,000g
933g
- ナチュラルカルシウム(牡蠣殻石灰)/200g
- ナチュラルマグネシウム/90g
(またはブルーマグ/126g) - ナチュラルクワトロネオ/30g ※鉄・マンガン・亜鉛・銅・ホウ素を含んだ複合資材
必要な追肥量の目安(1m2あたり)
60g
- ナチュラルカルシウム(牡蠣殻石灰)/20g
- ナチュラルマグネシウム/30g
- ナチュラルクワトロネオ/20g ※鉄・マンガン・亜鉛・銅・ホウ素を含んだ複合資材
キュウリの追肥
キュウリは根が浅く、一度にたくさん肥料をやると傷んでしまうため、追肥は少量、多回数が基本です。
生長が早いため、肥料切れさせないよう注意しましょう。
実がつきはじめたら、10日〜2週間に1度のペースで定期的に与えていきます。
土はいつでも少し湿った状態に
キュウリの96%は水分で出来ています。
栄養はあまりありませんが、利尿作用のあるカリウムを多く含んでいます。
たくさんの水を必要とするキュウリの根は、地面の近いところに、浅く横に広がる性質があり、乾燥に弱い特徴があります。
ただし、根が元気に伸びるためには、酸素が欠かせなせん。
いつまでも水浸しのような、水はけの悪い土は好まないのです。
キュウリを良く育てるには、土はいつも少し湿った状態を保ち、さらに酸素がたくさんある、土に隙間がある「団粒構造の土」が適しています。
最大の難関はウドンコ病、ベト病
キュウリは初心者でも育てやすい野菜ですが、ウドンコ病、ベト病をどう防ぐかが、最大の難関です。
これを防ぐことが出来さえすれば、長く多収穫が期待できます。
そのためには、種まきや苗を植えつける前の土作りがもっとも重要です。
さらに、耐病性の強い品種を選ぶことや、株間を広めにとり、風通しを良くし、葉が混み合ってきたら摘葉するなど、基本的な管理も大切になってきます。
5月〜8月まで、いつでも種まきできる
キュウリは発芽適温、生育適温ともに高めで、5月に苗を植えつけて以降、8月頃まで、いつでも種まきできます。
発芽適温(地温)は25〜30℃なので、5月に種まきする場合は、透明のビニールマルチをかけたり、トンネルで保温してあげると芽が出やすくなります。
何度かにわけて種まきをしておくと、最初に植えたキュウリが疲れてくる頃に、新しい苗の収穫が始まるのでオススメです。
10月上旬頃、気温が12度を下回るまでは収穫ができます。
それではまた。
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