イラストNo.dc041 アナログで描く女の子/かわいい イラスト
絵を描く女性のイラスト/アナログイラスト・デジタルイラスト それぞれのメリット・デメリット
こんにちは。イラストレーターのAkihisaです。
「絵を描く人物」を描くのは、実は今回が初めてです。
仕事でそういう依頼が来たことがなかったし、機会がなかったんですね。
イラストを描く手法として、「デジタル」か「アナログ」か、大きく2つに分かれますが、僕は基本デジタルです。普段は下書きの段階から、Photoshopで新しく白紙のページを開いて、タブレットでどんどん描いていきます。
ただ、すべてデジタルというわけではなく、時にはコピー用紙に鉛筆で下書きしたり、Gペンや筆で描いたものをスキャンして色づけし、仕上げることもあります。
時には水彩絵の具も使います。
スケッチや落書きは、いつも持ち歩いているモレスキンのノートに描いています。
アナログで描く良さ・メリット
(イラストNo.i087/鉛筆、Gペン、面相筆で作画。Photoshopで着彩仕上)
鉛筆や絵の具で紙に描く、というアナログな手法で描く機会は、大人になってからはどんどん減っていきますが、デジタルで描くにしても、基本はアナログで描く感覚や技術が大事だなというのは、イラストレーターとして仕事をするようになって、よく思うようになりました。
デジタルで上手い人は、アナログで描いてもやはり上手いんですね。
そしてアナログで上手い人ほど、デジタルでの作画に移行した時にも「伸びしろ」が大きいと感じます。
デッサン力、陰影の表現、色彩力……絵に必要な基礎はアナログで養われる
(イラストNo.mono006/鉛筆、Gペン、面相筆で作画。Photoshopで着彩仕上)
絵を描く基礎的な力は、アナログで養われます。
デッサン力、形を取る力、光や影の表現、色彩の感覚、構図。
誰でも最初は、子供の頃に、実際に手を動かして描くことがスタートですが、デジタルでの制作に移る前、アナログでの制作経験が多ければ多いほど、デジタルでの作画もスムーズに進むし、描くものの面白さ、厚みも変わってくると思います。
アナログ経験があるからこそ、それをデジタルでも実現するにはどうしたらいいか?という工夫が出てくるし、アプリケーションの決められた機能だけでなく、身体的な実作業の経験が、オリジナルなものを見つけやすくさせます。
アナログのメリット:思わぬ表現が生まれる偶然性
(イラストNo.iof075/鉛筆、Gペン、面相筆、水彩絵の具で作画。Photoshopで仕上)
アナログで描く一番の面白さ、メリットは、僕は「偶然性」だと思っています。
デジタルで描くときのように、簡単に修正、やり直しがきかない、いわば「デメリット」のあるアナログは、少々の間違いやバランスの悪さがあっても、そのまま進めざるを得ません。
鉛筆なら消しゴムで消すことも出来ますが、マーカー、Gペン、筆で描いたものは、修正するといっても簡単ではないし、手間もかかります。
でも、そのやり直しのきかなさこそがアナログで描くときにはいい緊張感と、アナログならではのもの生みます。
その緊張感があったからこそ引けた線、というのがあるのです。
単純に、鉛筆やペンだけで描くイラストを、デジタルで同じように描こうとしてみても、うまくいきません。
アナログで描くときの「偶然性」がもっともよくあらわれるのは、水彩絵具で描いたときです。
水の加減、絵の具の混ざり具合で、思わぬタッチ、色の広がりや模様などが生まれます。
しかもそれは、あくまで1回きりのもので、完全に同じものは、再現したくても出来ません。
なんでもコントロールできるデジタル作画と違い、アナログにはそういう面白さと良さがあります。
イラストレーターの多くは、実際に紙に絵の具で塗ったものをスキャンして取り込み、テクスチャー、マチエールとして利用しています。
僕も実践している方法です。
アナログでの制作は、「偶然性」によって、新しい発見との出会いが生まれやすいのです。
そこが一番の魅力、メリットだと感じています。
デジタルのメリット/イラストレーターはデジタルスキルが必須
デジタルで描く最大のメリットは、もちろんいくらでも修正、やり直しができることです。
Photoshopなどのアプリケーションを使えば、レイヤー(層)という、アニメーションのセル画を重ねるような感じで、何十でも何百でもパーツごとに描く階層を変えられます。
その他、メリットを箇条書きにしてみます。
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- どれだけたくさんのイラストを描いても、保管場所やファイルする場所に困ることもありません。
- 細かな部分の描きこみは、拡大していくらでも詳細に描けます。
- 描き終わったイラストの色相・彩度・明度・コントラストを調整してまったく違う印象に仕上げたり、フィルターなどの様々な効果をつかって、デジタルにしか出来ない表現を行うことも簡単に出来ます。
- パーツやパターン、テクスチャをコピペして使い回すことも出来ます。
- 絵筆やパレットを用意する必要も、洗う必要もないので、準備、片付けが楽です。
- iPadなどの小さな液晶タブレットでも「Adobe Fresco」などの登場で、どこででも、iPad1台で絵が描けるようになりました。アナログのようにたくさんの道具を持ち運ぶ必要がありません。
- 絵が終わったイラストをパーツごと動かして、レイアウトや構図の変更が簡単にできます。
思いつくまま挙げてみましたが、一言で言えば、デジタル制作は「効率が良くて早い」ことが一番のメリットです。
またそれだけでなく、仕事でイラストを描く場合には、デジタルでの対応、納品が、現在では必須です。
アイデア、ラフ、着色、仕上げという各段階で、常にメールで画像を送付してやりとりをしなければなりません。
また完成品は、手描きの原画で入稿してしまうと、受け取った側で複写、スキャンなどに時間やコストが発生してしまいます。
とくに締め切りの忙しい仕事では、朝修正指示があって、その日の午後には直したものをメールで送らなければいけないということもよくあります。
たとえアナログで描くにしても、自分でそれをスキャンしてデジタル作品と仕上げる技術が必要です。
イラストレーターにとって、デジタルに強いことは、今や、仕事の前提条件としてのスキルです。
それは単に「どう描くか」にとどまらず、自分の手段をアピールする手段、情報発信のツールとしても、欠かせないものになっています。
(関連記事)
→ 「イラストレーターは、デジタル・ネットに強くないと生き残れない/イラスト制作に最大活用」
デジタル制作のデメリット
デジタルでイラストを描くデメリットとしては、初期の段階からカチッと描きすぎてしまったり、丁寧に細かく描き過ぎてしまう、という点が大きいかなと思います。
イラストには、ある程度自然なブレや「抜け感」、「軽やかさ」が必要だと、僕は思っています。
また、いくらでも修正がきくというデジタルのメリットは、逆に、自分を同じところに固定させがちです。
アナログならあり得ないような細かな修正を繰り返してしまうのです。
そして実際には、その細かな修正は、絵の完成品としての出来栄えにはあまり関係がないことが多いのです。
限られた時間を、あまりにそういう部分に使ってしまうのは、もったいないと思いますし、危険ですらあるとよく思います。
● 初期費用がかかります
そのほかにデジタルのデメリットとしては、最初にかなり高額な費用がかかることでしょうか。
パソコン、タブレット、Photoshopやillustratorなどのアプリケーション、スキャナ、プリンタ、もろもろ費用がかかります。
しかし趣味を超えて、仕事としてイラストを描きたいという気持ちがあるようなら、デジタル機材は必要な仕事道具。
どんなお店を開くにしても、初期投資は必要です。
仕事をする上で必要な道具ですから、ある程度の作業環境は早めに整えたほうがいいと思いす。
● 常に勉強と情報収集が必要
また、デメリットと言えるかどうかですが、デジタル制作のためのアプリケーションの勉強や、それを使いこなすまでの慣れる時間がかかります。
アプリケーションの豊富な機能をすべて覚える必要はありませんが、「こんなにいい機能があったのか」と驚かされるものは必ずあります。
常に勉強し、新しい情報、技術を日々積極的に収集する姿勢が大切になってきます。
僕も常に勉強していますし、これには終わりがありません。
デジタルとアナログを両方取り入れてみる
デジタルとアナログ、どちらにもいい面があります。
両方使ってみて、時々行ったり来たりしてみたり、二つの手法を組み合わせて描いてみることが、可能性を広げてくれます。
デジタルで制作するイラストレーターでも、まずは鉛筆で下書きやラフを描いてそれをスキャンしてトレースしたり、デジタルで描くためのたたき台、ガイドとしている人たちがたくさんいます。
またアナログで描く場合も、画材は様々です。
鉛筆、パステル、Gペン、色鉛筆、クレヨン、カラーインク、ペンやマーカー、水彩絵具、アクリル絵具、油絵具など。
そういった多様な画材とデジタルを組み合わせると、より面白いもの、新しいものが生まれそうです。
結局のところ、デジタルにしろアナログにしろ、描くための「ツール」「道具」に過ぎません。
良い方法、面白い方法を常に探していく、使い分けたり組み合わせたりしていくことが自由な創作につながっていくと思います。
それではまた。
イラストレーターAkihisaSawada
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