土の中で育つマメ/家庭菜園で人気の野菜
こんにちは。三澤です。
ダイコンの種まき適期は、春と秋の年2回。
冷涼な気候を好むため、冬に向けて育てる秋まきの方が栽培しやすく、味も良くなります。
発芽適温は15〜25℃、生育適温は15〜20℃。
生長が寒い時期にずれ込むと、根の肥大が止まりそれ以上大きくなれなくなるため、蒔き遅れは注意です。
少し多めにタネを蒔いておくと、間引きなも美味しく味わえます。
ダイコン(大根) 栽培の基本データ
科名 | アブラナ科 |
食用部分 | 根、葉 |
病害虫 | アオムシ、ヨトウムシ、コナガ、キスジノミハムシ、ウイルス病、軟腐病など |
発芽適温 | 15〜25℃ |
生育適温 | 15〜20℃ |
土壌酸度(pH) | 6.0〜6.5 |
ダイコン 栽培の基本
直根が長く伸びるダイコンの種まきは、ポッドなどで育苗するのではなく、必ず畑やプランターに直まきします。
発芽は早く、種まき後、約3日で芽が出ます。
種まきから約20日後、本葉5〜6枚ぐらいの時期には、おおよその根の長さが決まり、根の肥大が始まると同時に、新しい葉も次々と出てきます。この時期までに間引きを終わらせます。
この頃から葉の生長も旺盛になり、1日1枚のペースで増え、同時に根を肥大させていきます。
初期からいかに大きく厚い葉を展開できるか、枚数を確保できるかで、光合成も活発になり、それにより根も肥大します。
品質の良いダイコン作りには、なによりスタートダッシュが肝心です。
ダイコン 栽培の肥料/初期にアミノ酸肥料を効かせる
初期にアミノ酸肥料を効かせて、早く大きな葉を作ることが良いダイコンづくりのポイント。
光合成をしっかり行い、根を太らせるようにします。
ダイコンの葉の生長がゆっくりになってくると、根の肥大が本格的に始まります。
ダイコンが大きくならない?/根が大きくなる頃にはチッソをおさえる
ダイコンが肥大を始める頃には、チッソはカラダを維持する最低限まで切る生育に持っていくことが大切。
この時期に必要以上にチッソが残っていると、葉の生長が止まらず、「葉ボケ」になり、根が十分に太りません。
ダイコンでは基本追肥は行いません。
必要な元肥量の目安(1m2あたり)
100g
1,000g
467g
- ナチュラルカルシウム(牡蠣殻石灰)/100g
- ナチュラルマグネシウム/60g
(またはブルーマグ/84g) - ナチュラルクワトロネオ/30g ※鉄・マンガン・亜鉛・銅・ホウ素を含んだ複合資材
必要な追肥量の目安(1m2あたり)
※ 大根では基本追肥は行いません
ダイコンの土づくり
ダイコンの根は直根生で、なにより水はけが大切。
通気性が悪いと根が呼吸できず、よく育ちません。
土の中で育つダイコンは、土壌病害虫の被害にも遭いやすいため、太陽熱養生処理を行って種まきすることが効果的です。
太陽熱養生処理については、拙著「BLOF理論で有機菜園」でも詳しく紹介しているので参考にしてください。
肥料の多すぎ、水不足では「ひげ根」やさまざまな障害が出る
チッソ肥料が多すぎると、「葉ぼけ」して根が太らなくなるだけでなく、ひげ根(側根・ダイコンの側面から伸びる根)が多くなったり、先端が尖る、スが入る、中心に空洞が出来る、病害虫の被害にも遭いやすくなるなど、様々な障害が起きます。
また、ダイコンが肥大する時期に水分が不足すると、水分を求めて「ひげ根」が多くなります。
土はいつでも少し湿った状態にすることで、見た目にも綺麗な、食感がなめらかで美味しいダイコンを収穫することができます。
前作を踏まえた施肥を行う
夏までにトマトやキュウリ、ナスなどの果菜タイプを育てた跡地にタネをまく時は、土壌中に肥料分が多く残っていることがあります。
そのような時は、肥料の量を通常の半分にする、または入れないで栽培してみるという選択肢もありです。
正確には、土壌分析を行なって、土の状態を調べてみることが一番です。
ダイコン栽培でよくある悩み・質問
根の先端が分かれてしまう
よくある悩みは、ダイコンがまっすぐに育たず、先端がいくつもに分かれてしまう「又根」です。
根が生長する時期に、石にぶつかったり、肥料が濃すぎる場所や、未熟な有機物に生長点(根の先端)が当たると、「又根」になります。
作土層が浅く、根が十分伸びることができない場合も、曲がったり、又根になりやすくなります。
硬い土では、長く太く育つことができません。
基本は、土に未熟な有機物を入れないこと、よく耕して石などの異物は取り除くようにすること。
未熟な有機物が多い畑では、病気やセンチュウなどの被害も出やすくなるので注意しましょう。
割れてしまう
ダイコンが縦に大きく割れてしまう(裂根)主な原因は、収穫の遅れや、乾燥が続いた後の大雨で急激に水分を吸ったときに起こりやすくなります。
生育初期から、常に土は少し湿った状態にしておくことが、裂根を防ぐポイント。
収穫間近の生育後半に起きることが多く、穫り遅れでも割れることがあるので、収穫適期を逃さないようにしましょう。
欲張って大きくしようとしすぎず、早めの収穫がオススメです。
空洞ができる
株が小さいうちに高温や乾燥、低温に遭ったり、何日も乾いていた土に急に水をやり、急激に肥大したりすると、中に空洞ができる「空洞症」と呼ばれる生理障害が起きることがあります。
対策としては、適期に栽培すること、また、水は土が乾きすぎてから一気に与えるのではなく、常に少し湿った状態になるように少しずつ与えることがポイントです。
肥料の多すぎも空洞症を起こしやすくします。
黒い斑点ができる
大根の内側に黒い斑点が見られることがあります。
これは土壌病害の一つ「ダイコンバーティシリウム黒点病」の可能性があります。
土壌にいる菌が原因で起こる病気で、一度発生すると10年以上は生息すると言われます。
病気が出たら、連作を避けたり、「太陽熱養生処理」を行うことで改善します。
す」が入る
す(空洞)入りは、大きな空洞ができる「空洞症」とは違い、小さく細かな隙間ができて、中がスカスカになります。
「す」は細胞の老化現象。
収穫が遅れると「す」が入りやすくなるので、収穫適期を逃さないようにしましょう。
青首大根では、地上部に出てきた部分が10〜20㎝、根の太さが7〜8㎝になってきたころが収穫どきです。
大根栽培は初心者でも難しくない
秋からの栽培なら、病気や害虫の被害に遭いにくく、栽培初心者でも無理なく無農薬で、有機栽培で、美味しいダイコンを育てることは、けっして難しくありません。
ダイコンの原産地は、乾燥気味で養分の少ない、地中海沿岸の内陸部といわれます。
自分で葉水分を吸収する力が強く、養分の少ない土地の方が味が良いものが出来ると言われます。
ただし、初期生育で早く大きな葉を確保することは、光合成をしっかり行うためにとても大切。
元肥を適切に施し、初期生育を良くして、根をよく太らせます。
ダイコンに限らず、冬は野菜の甘みが増して美味しくなります。
寒さで凍ってしまわないように、野菜が自分の細胞内の水分を減らし、そのかわりに光合成で作られる糖をぎゅっと貯めこむためです。
コツをつかんで、美味しいダイコンを育てましょう。
それではまた。
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